Akit Physical Therapy Association

脳卒中のリハビリテーション 脳卒中ってどんな病気なの?

1.脳卒中とは

脳はからだの色々な機能をつかさどっています。またその機能を分担しあっておこなっています。意識的に動かしたり、無意識に働いたりする司令所です。命 令の伝達は神経で行われ、この司令所ですから脳は中枢神経とも言われています。この脳のはたらきを阻害する原因、疾病に脳卒中があります。脳卒中になりま すと手足が麻痺する、物にさわっても感覚がない、しゃべれない、からだのバランスがとれないなど様々な障害が出てきます。重症例では意識がない、呼吸がで きないなど生命の危険な場合もあります。
この脳卒中の「卒」は卒倒するなどにも使われるように「急激に、非常に早く」という意味があります。ある日突然、急激に運動の麻痺などが起こります。 「中」は中風、中気などの日本古来のやまいの種をあらわす言葉ともいえますが、怖い病気にずばり「的中された:あたり」という意味合いがあったのではない でしょうか。

2.脳卒中は脳へ入り込む血管の障害です

さきほど、脳卒中は神経の病気といいました。病院での治療部門も「脳神経外科」「神経内科」など「神経」という言葉がついています。しかし、病気の原因 からとらえますとじつは、脳に栄養、酸素を送っている血管の病気なのです。脳卒中は別名を脳血管障害といいます。要は脳の血管がどこかで詰まったり、血管 が破けたり、脳の表面で動脈瘤という血管の瘤(こぶ)が破れたりする。これらにより、急速に手足の麻痺などの神経症状が出てくる病気なのです。血管が詰ま るのを「脳梗塞」血管が破けるのが「脳出血」動脈の瘤が破けるのを「くも膜下出血」と呼びます。血液の流れですから、流れが「さらさら」か「どろどろ」か というのもポイントになり、「水」の量も質も大事になります。むろん「どろどろ」とよどんだほうが脳梗塞などになりやすいのです。高齢になるとからだに水 分をため込みづらくなりますから、食が細かったり、こまめに水分を補給しないと「どろどろ」な脱水になりがちとなります。この脱水が引き金となり脳梗塞を おこす人も少なくありません。

3.急速に!は治療でもキーワードです

治療は、この血管「血液の流れ」に対して行われます。脳卒中は急速に症状が現れますが、治療もスピードが必要です。脳梗塞は大きく分けて原因が2つあり ます。心臓や太い血管の中にできた血の塊が、突然脳の血管を詰めてしまい一瞬にして症状が悪くなるもので脳塞栓ともいいます。もう一つは動脈硬化が原因で じわじわ血管が細くなり、最終的に血行が閉ざされるというもので、脳血栓といいます。脳血栓はじわじわ進むので、周りの血管が「まずい」と感じて助け船と なる血管が存在することも多くあります。これを側副血行といいます。
脳塞栓の場合、詰まった原因の塊を溶かす薬があります。詰まって意識がもうろうとするなどの症状が出ても、脳実質は数時間は死んだ振りをしてまだ生きて います。このタイミングで点滴治療などを行うと、後遺症を残さず回復します。しかし時間が経ってしまい、脳が部分的に死んでしまってからでは遅いのです。 要するに回復のためには時間制限があるのです。患者さんによっては、「寝てればそのうち治るや」という方も多くおられますが、じつは十分に回復する可能性 をつぶしている方も多くいることも事実です。このような場合、早く病院に向かうのが重要になります。
一方、脳血栓では援軍の側副血行にがんばってもらう薬物治療があります。しかし、動脈硬化が根本の原因にありますので2回、3回と再発する可能性があり ます。そこで症状が軽い時期にすみやかに病院を受診して、再発予防薬の治療を受けることが大事です。何回も脳卒中を繰り返すと徐々に病気や後遺症が重くな り、更には日本人に多いとされる、脳血管に由来する「ぼけ」への移行も少なくありません。なんといっても早い受診がキーワードです。

4.脳出血やくも膜下出血も早い受診が大事です

脳の血管が破ける脳出血は、高血圧が原因のほとんどです。血管が破れているところに、血圧が高いままでは、どんどん症状が重くなります。一刻も早く血圧 を下げる必要があります。また、骨折や捻挫で患部が腫れるのと同じように、脳自体も腫れてきます。脳の働きで、意識や呼吸をつかさどっている場所が、腫れ により圧迫されれば、生命の危険にさらされます。緊急な手術(脳内にできた血のかたまりを排除したり、腫れを防ぐ処置)や薬物治療が要求されます。高血圧 は動脈硬化の原因でもあるので、予防することも重要です。そのためには定期的な検診も重要です。

5.障害が残った場合、回復を手助けするリハビリテーションが行われます

脳卒中の場合、多くは回復しますがどうしても後遺症が残ってしまう場合があります。最近は、CTやMRIなどという、脳の中を間接的に覗くことができる 画像診断が発展してきました。おかげで患者さんの診断が飛躍的に精度がまして、ある程度脳卒中の病態が瞬時に予測できるようになりました。この画像の診断 により、後遺症が出るケースがある程度予想され、それにより障害が残りそうな方は、発症翌日くらいから、リハビリテーショントレーニングが行われるように なっています。この発症から早い段階でのリハビリテーションについては、次回に説明しようと思います。

秋田県立脳血管研究センター 高見 彰淑

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