Akit Physical Therapy Association

脳卒中のリハビリテーション リハビリ一段落!その後は…

1.維持期のリハビリテーションの重要性 -退院してからが本当の戦い-

回復期のリハビリテーションによって、日常生活動作やコミュニケーションの障害の回復・改善が限界に達するようになると、ほとんどの場合、退院して自宅 で生活を行うようになります。最も大切で基本的なことは、痴呆と寝たきりという状態になることを避けるために、心身の廃用症候群を防止することにありま す。
本人も家庭に帰ると苦しいことはしたくない、家族の方も本人が嫌うことやいやがることはさせたくない、介護力が足りないなど様々の理由で痴呆や寝たきり になる場合が少なくありません。実は自宅に帰ってからが本当の戦いです。そこで、まず介護にあたる人は、本人ができることは、動作が遅くて多少時間がか かってもできるだけ本人にやってもらうようにしましょう。これは放置するということではなく、介護する人がそばにいて必要な場合にのみ最小限の手助けをす るということであり、ある意味では全面的な手助けをするよりも忍耐が必要です。このためには高血圧、糖尿病その他の医学的管理や生活管理をしっかり行い再 発を予防するとともに、回復した機能や改善した動作を維持し、廃用症候群を防止するために家庭内でできるリハビリテーションをしたり、外来(通院)リハビ リテーションや地域のリハビリテーションに参加したりすることが重要です。
維持期のリハビリテーションは退院する際に、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などから家庭におけるリハビリテーションの具体的な方法や介護方 法の指導を受け、実施することになります。また家庭で容易に行動できるように、家屋や廊下、トイレ、風呂などの改造や、ベッドやいす、テーブルなどを使用 する生活様式を取り入れます。さらに毎日できるだけ散歩をしたり、定期的に機能訓練ができる施設へ通ったり、様々な地域の催し事や趣味活動に参加して、生 きがいのある生活を送ることが大切になります。

2.家屋の評価と住宅改修について-ワンポイント・アドバイス-

入院中のリハビリテーションによって身体機能が向上し、日常生活動作が自立した患者さんが、通常の家屋内での生活様式に適応できる場合は特に問題があり ませんが、中等度以上の麻痺を残して自宅退院する場合には、それぞれの障害に応じた住宅の改修や福祉用具の導入が必要になります。このような配慮がないと 日本式の家屋内では、日常生活動作を妨げられる場合が多く、患者さんが寝たきりになってしまいます。退院前に、生活の自立を助けるための改修や福祉用具の 導入などを行ったうえで家庭に迎え入れるようにしましょう。

1)家屋の評価

一戸建てか集合住宅か、持ち家か、借家か、何階に住んでいるのかという家屋の概要は問診でわかりますが、その状況は図面を用いて判断する配慮が必要で す。可能なかぎり理学療法士や作業療法士、ソーシャルワーカーなどが患者さんを連れて訪問し、家庭内での生活の実演を通じて改修すべき点や必要な福祉用具 の導入について指導や助言を行います。

2)住宅改修

段差に対する解消や工夫、手すりの設置、トイレ・浴室の改造、ベッドや椅子の必要性などを検討します。これらは、患者さんの日常生活上の能力に合うように計画します。
▼ あがりかまち
段差が低い場合は40cm程度の椅子をおいて、そこへ腰掛け、靴を脱ぎ、手すりを利用して立ち上がります。
▼ トイレ
洋式トイレと立ち上がりのための手すりを付けます。和式便器ではしゃがみ立ちが難しい場合、高さを補って立ち上がりやすくします。また、ちり紙も健側に置きます。排便後の処理が簡単なことから、便座を洗浄器付きにすることも便利です。
▼ 廊下や階段の手すり
歩行の安定性が悪い場合には、要所に手すりを付けます。
▼ 浴室
浴室は転倒の危険があるので、洗い場には滑り止めマットを敷いたり、壁に手すりを付けます。浴槽への出入りにも手すりが必要です。浴槽からの出入りに は、風呂や台にいったん腰掛けてから足を入れるので、風呂の縁は40cm位の高さが適当です。そのためには洗い場の‘すのこ'を高くしたり、風呂を埋め込 み式にします。またシャワー浴は介助が少なくてすみます。
▼ 寝室・食堂・居間
患者さんが1日の多くを過ごす部屋については、最低6畳は必要です。また、布団よりベッドの方が起きるのが簡単で、介護する人にとっても楽です。寝たき りにならないため、日中はできるだけベッドの上や椅子、車椅子に座らせるようにしましょう。座っているのが困難な場合には、ギャッジベッドが必要になりま す。ベッドや椅子の高さは、腰掛けて足の裏がちょうど着く程度にしますが、立ち上がりを簡単にするためには、それより床面を高くする場合もあります。
このような住宅改修や福祉用具の導入については介護保険による公的負担・貸与制度(原則利用者一割自己負担)があるので利用するとよいでしょう。

3.在宅で受けられる主なリハビリテーション・サービス

1)老人保健法に基づく医療等以外の保健事業

(1)機能訓練

40歳以上の心身の機能が低下している者であって、医療終了後も継続して機能訓練が必要な者等に対し、心身の機能の維持・回復を図るために必要な訓練を行い、日常生活の自立を助けることを目的とする事業です。
i.実施場所
市町村保健センター、健康増進センター等で適当と認められている施設。
ii.主な訓練内容
概ね次に揚げる社会的機能訓練を中心とした訓練です。
ア.歩行、起き上がり等の基本動作の訓練
イ.食事、衣服の着脱等の日常生活動作訓練
ウ.習字、絵画、陶芸、皮細工、紙細工、くみひも編等の手工芸
エ.グループ体操などのレクリエーション及びスポーツ
また、訓練は医師及び医師の指導のもとに、理学療法士・作業療法士・保健師及び看護師が実施します。

2)介護保険に基づくサービス

(1)訪問リハビリテーション

理学療法士や作業療法士が居宅を訪問して必要なリハを行うサービスを言います。
(2)通所リハ(デイケア)
介護老人保健施設に通所し移動動作訓練や生活・作業療法、レクリエーションなどを行う。
なお、介護保険に基づくサービスを受けられる方は要介護認定者であり、利用料については利用者1割負担となります。

湖東総合病院 松橋 一義

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