Akit Physical Therapy Association

脳卒中のリハビリテーション 日常生活に便利なものは?(福祉用具について)

1.福祉用具(機器)とは?

いままでは日常生活用具・自助具・介護用品・機能訓練用具・補装具etc・・・など医療・福祉に関わるものはその使い方で呼び方がいろいろとあったようですが、それらの機械・器具を全て含めて福祉用具(機器)と呼んでおり、その中で細分化されています。
堅苦しくいってしまうと「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成5年5月6日法律第38号、以下「福祉用具法」という。)」の第2条に定められたような内容(下記参照)になります。
「福祉用具とは、心身の機能が低下し日常生活営むのに支障のある老人または心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具並びに補装具をいう。」
我々理学療法士は、入院中から患者様の自宅復帰後の生活などをイメージしながら診療を進めていかなければなりませんが、いざ自宅復帰された本人からのお話を聞くと「はっ」させられるときがあります。
診療中の会話の中で「中々箸が上手に使えなくてねぇ~」それに対して私が「こんな箸もありますよ!」
と、カタログを見せながら話し掛けると「そんな便利な物もあったんですか!!! 全然知らなかった・・・!」
たわいもない診療中の会話でしたが、その事を知らなかったがために周囲から過小評価されたり、知っていたらもっと楽に、そして楽しく日常生活を送れていたのではないか?などいろいろと考えてしまう事が多々あります・・・。
そういった事を少しでも無くしていく意味でも、我々を含め、「福祉用具を必要とする人々」を取り巻く環境に携わる全ての人に「福祉用具に関する正しい知識と使用法」を理解していただき、実際の場において活用していってもらえれば幸いだと思います。

2.どんなものがあるの?

日常生活に便利な物と言ってしまえばいろいろありますので、今回は福祉用具(機器)の中からのご紹介とさせていただきます。そして、その中で、脳卒中の 方々に適した用具(機器)や雪国である秋田ならではの物や知識などについても少しではありますが、触れていきたいと思います。
また、福祉用具(機器)によっては購入・レンタルの際に介護保険制度や福祉制度、市町村の助成制度などが利用できるものも多々ありますが、その点につきま しては他にお譲りしたいと思いますので、知りたい方がいらっしゃいましたら、身近な医療ソーシャルワーカーや担当医師・理学療法士、その他専門知識を有す る者に相談してみたほうが良いでしょう。

1)Bed周り

▼ベッド(電動)
生活上必要となって機能はやはり背上げ・膝上げ。連動式ではなく別々に動くものが◎。また、介護者中心であれば腰痛予防のため高めに、被介護者がある程 度活動的であればベッド端に腰掛けたとき足が着くくらいの高さが良い。動かす場合がある時はキャスター付きが好ましいが、介護時は必ずブレーキを忘れず に!(ベッドを動かさない人は据え置きでもOK!)
電動ベッドは値段によりその付属機能が大きく異なる場合があり注意が必要。2モーター式は背中と膝上げが連動、3モーター式はそれらを別々にコントロー ル可能(メーカーによっては2モーター式を後付けで3モーターへ変更できるものもある)。電動起床ベッドは寝ている所から坐る姿勢へ移行できる。

▼マット
マット選びは褥創(床擦れ)予防に重要だが、活動的な人に軟らかすぎるマットを提供してしまうと動きづらくなり活動性の低下を引き起こしかねない。選ぶ 基準としては自分で体の向きを変えられる人には少し固めでも良く、動かせない人には軟らかいものが良い。主にウレタンフォームマット・エアマット・ウォー ターマットなどだが、それぞれに長所・短所があり選択が必要。床擦れ予防またはある人の場合はエアマット・ウォーターマットまたは特殊マットレスなどが良 いが取り扱いやメンテナンス等を考慮しておく必要性がある。

▼サイドレール・手摺
寝具・被介護者の落下予防、起き上がり時など必要となるのがベッド脇のサイドレール。「固定式・差し込み式・折りたたみ式」とあり、起き上がり時の安定性は前者ほどあり、取外しの操作性は後者が優れる。
ベッドからの立ち上がり時やベッド脇に坐る時使用するのが手摺。いわゆる介助バーというものであるが、これも差し込み式・スウング式・回転式とあり当院 ではスウング式(ロック付)を使用しているベッドもあり片麻痺者の方にも活用している。また、ベッドに直接設置するアシストバータイプもあるがキャスター との併用ができない場合があり注意が必要である。その他に、蒲団(お座敷ベッド)の方でも和室であれば畳の間に支え部分を滑り込ませて使用する手摺もある。

▼その他
ベッド上で食事やいろいろな動作を行う人にはサイドテーブル・オーバーテーブルの使用も良い。後者に関してはギャッジアップ時は手を乗せて体を支える事 もできる。また、床に蒲団などを使用しておりギャッジアップしたい時は、リクライニング式背上げ器などを使用すると良い。
床擦れ予防でマットとともに活用してもらいたいのがクッション(最近では微粒ビーズ入りの活用も増えてきている)、ビーズ、ムートン、体位変換器(ウレタン製などで三角などの専用パッド)など。
その他にベッド上での移動・移乗においてスライディング・マットなどの使用により介助量を軽減できる場合もある。

2) 食 事

▼箸
やはり箸でないと食べた気がしないという高齢者は少なくない。手の巧緻性・握力などが低下したり片麻痺などにより利き手交換した方などは箸ホルダーや箸ホルダー一体型の箸(ストレート型・L型・鶴首型などがある)をお試し願いたい。

▼スプーン・フォーク
片麻痺などで利き手交換を行った場合、使われやすい傾向にある。しかし、普通の物では細くて握りづらかったり、すくう時や口まで運ぶ間にこぼしてしまう 方もいる。握りづらいだけであれば柄の太い物を選ぶか柄に専用のスポンジを付ける、またはカフ付・柄を自由に変形させられる材質(形状記憶ポリマー等)の 物なども良い。すくいづらい場合は、すくおうとしても食器の淵に当たらないように反り返ったものまたはそのように変形させられる物が良い。口まで運ぶ間に こぼしてしまう場合は、その動きや距離を少しでも少なく・短くするように首が横に曲がった物も試してみる価値はある。
最近では多機能スプーンと呼ばれるつまむ事のできるスプーンもあるようだが、使用には手指機能としてピンセットを挟む動作や閉じながらすくう、閉じたま ま運ぶなど一度に二つの動作が要求されるため人によりけりだろう。また、口の保護や金属の冷たさが嫌な方にはプラスチック製なども良い。

▼食器・滑り止めシート
すくいやすくするためには、食具・動作のほか食器も重要なポイントとなる。一般的にスプーンで横からすくためには平たい洋食器・箸でつまんだりフォークで刺す事が多い場合は、食べ物が逃げない少し深めの小鉢のような物を物が良い。
片麻痺者の場合、食器を持つ事が少ないため、底が幅広でやや重めで転倒しにくい物などが良く、スプーンですくう時は食器の端に「返し」がついた物がすく いやすい(手持ちの食器を使用した場合はフードガード等もある)。もし、持つ機会がある方の場合は、軽くて熱伝導率の低いプラスチック製の物などが良い。 その時、食器の滑りが心配な場合は滑り止めシート(ロール型・マット型等)などを使用。

▼コップ
筋力や手の大きさ・首の動きなどに合わせて握りや形を考慮する必要がある。逆さまにしてもこぼれない物やコップの中に角度がついており、傾ける角度が少 なくも最後まで飲めるコップなどがある。また、倒してしまったり、落としてしまう事が多い場合には安全も考慮し、割れにくい素材が○。

▼その他
まず、はじめに確認してもらいたいのは、摂食・嚥下能力の把握や食事時の姿勢について!細かい評価は専門家へ要相談。また、毎日の事ですから食べ物の好 みなどを把握しておく事も重要です。しかし、毎回毎回工夫しながら作っていたら介護者も疲れてしまいますから、上手に市販の嚥下食も活用していただきた い。食べるのに介助を要する方に関してはその介助方法も重要になるため、自信のない方はこちらも専門家へ要相談。

3) 移 乗

▼移乗補助具
移乗に介助量を要するのには、被介護者の能力による所が大きいが、環境によっても影響を受けやすい。同じ高さから同じ高さ又は低い高さへの移乗であれば 介助量は比較的少ない。環境的には車椅子又は椅子・ベッド・便座・浴槽など同じ高さである事が望ましく、その方がトランスファーボード(乗り移り時の橋渡 しのような板)などの福祉用具もより使いやすく効果を発揮できる。トランスファーボードには板状の物や用途によっては、スライドと回転ができるものがあり ベッド・車椅子間のみならず入浴時にも使用可能な物がある。
教科書的には補助ベルトや移乗ボード(被介護者の殿部にあてて移乗介助するための板)の使用で介助量が軽減するとされているが、被介護者の障害度や介護者の年齢・体力などによりある程度練習を要すると感じる。
また、移乗時に足の踏み変えが困難な方にはターンテーブルの使用も良いだろう。

▼リフター
被介護者の介助量が大きいや介護者の身体状態(腰痛の有無など)によってはリフターの使用も有効である。主に床走行式・天井走行式(住宅改造によるもの と組立式がある)・固定式・手動式・電動式などがあり、移乗の種類・使用場所・介護量を考慮して選択する。この場では床走行式について触れたい。床走行型 リフトは電動でバッテリー内蔵型のものであればコンセントがないお部屋でも使用でき、車輪が大きい方が操作しやすい。しかし、使用上においては、操作方法 や使用場所に配慮を要する場合がある。→リフトの脚がベッド下に入るか? キャスターが使用しやすい場所か?(畳などは動きづらく、畳を痛めやすいため敷 物などを考慮した方が良い)

▼その他
移乗介助は介護者のみならず医療人にとっても頻度の多い動作であり、体の負担となりやすく、その方法や体格差によっては腰痛を引き起こしやすい。正しい 方法を身に付ける事が先決ではあるものの、いくら正しいやり方でやっても頻回に行っていれば同じ事。そんな場合、リフターまでいかなくとも人の力を借りれ る環境であれば借りてもいいし、腰に違和感がある時はすぐ「腰痛予防ベルト」の使用をお勧めしたい。自分も違和感があるときはすぐに使用する事を心掛けて おり、今の所は腰痛知らずである・・・。

4)車椅子関連

▼クッション・背シート
様々なタイプがあるため目的別に選択した方が良い。主に空気の入ったもの(ロホクッション等)・特殊フォーム(ジェル・特殊ウレタン等)・円座(普通の 座布団)などがあり、その形状も様々である。床擦れ予防(特に感覚障害などがある方)には空気・特殊フォームの物が適しており、圧が分散されるようお尻の 形にフィットするような形状が良い。しかし、ある程度活動的な方にとっては坐り心地が良くても、安定し過ぎて動きづらい(移乗時など)場合もあるので円座 (真ん中に穴の空いているものは△)で対応できるケースも多い。また、厚いクッションを選択してしまうと車椅子の座面が肘当てや背シートから相対的に低く (逆に床からは高く)なってしまうため、車椅子と一緒に考慮するのが望ましい。
片麻痺者の場合、不自由な側のお尻が痩せていたり、バランスが不安定で傾いてしまう方もいるため、わざと左右差をつけて骨盤を安定させる事もでき る。(しかし、専用クッションもあるが値がはるため手作りの事もある)また、体が左右に傾いてしまう方には両脇の下に体を支えるための背クッションの使用 も有効であるが、骨盤が不安定で傾いている場合も多いので、順番的にはまず骨盤の安定性を確保してから行う事。

▼介助ベルト・ブレーキ
車椅子から擦り落ちてしまう可能性がある方に使用され、Yベルトやシートベルト(お腹の前にかう)などがある。Yベルトは擦り落ちる心配はないが股の間 に食い込むため不快に感じる方もおり見た目上も良くない。そんな場合、車椅子用のテーブル等での代用も考慮する(本来の目的ではないが・・・)。
片麻痺者の場合、不自由な側のブレーキがかけづらい事が多い。こんな時、ブレーキの長さを伸ばすアタッチメントがある。しかし、食事時にテーブルなどにぶつかって外れないか確認が必要。

▼その他
雨の日の外出が多い方には車椅子用のレインコートや傘差し部品もある(^^)。車椅子と杖を併用される方には車椅子の後ろに杖置きを装備する事も可能だ が、ペットボトルなどを利用して作成する方もいる。また、装具を履かないで車椅子に乗る方は、手さげバックやビニール袋などを介助グリップにかけその中に 入れる方もいる。このように、なんでも市販の高い物を購入しなくとも工夫次第で代用品を作成できる事は以外と多い。
今回車椅子・駆動方法に関しては詳しく触れないが片麻痺者の場合、不自由な側の反対側の手足で動かす事が多い。この時、車椅子の脚元のフレームにレッグレストと呼ばれる脚置きを外して使用した方がこぎやすい。

5)歩行関連

▼歩行補助具関連
歩行補助具としては杖・多点杖や松葉杖ロフストランドクラッチ、歩行車・器、老人車等様々な物がある。その中でも片麻痺者の使用頻度が高い杖・多点杖などに視点を絞って説明する。
一般的に杖と呼ばれている物はT字杖(その他L字型・オフセット型がある)で固定式・伸縮式・折りたたみ式などがあり、木製とアルミ製が主流。グリップ の形状は握りやすい物だと加重時の負担が少ない事もある(この場合、左右があるため注意を要する物もある)。杖の長さ調節機構にはスナップロック式(緩ま ずカチャカチャと音がしない)・プッシュボタン式(楽だが巧緻性を要し、音もでやすい)・ロックナット式(緩みやすく安全確認必要)などがある。また、切 断して長さ調節する場合は屋内用と屋外用で配慮が必要なケースもある。(屋外で使用する場合の靴の高さや道路の傾斜により屋内使用時と違いが生じてしまう 事が少なくない)
多点杖の多くは四点杖で支える面が大きい物は安定性に優れ、小さい物は機能性に優れる。また、これらの杖の場合、左右調整が必要でプッシュボタン式が多 い。多点杖でも立ち上がりを考慮した多点支柱杖というグリップが二つついた物もあるが、人によっては立ち上がり・立位バランスを考慮したウォーカーケイン が適する場合もある。

▼靴(リハビリシューズ)
片麻痺者では装具などの歩行補助具を使用する方も少なくない。その場合、靴の甲がマジック式やジッパー式で大きく開くものが良い。ゴムなどで伸縮性があ るものもあるが耐久性にやや劣る。また、爪先が開いた物も履きやすいが屋内・晴天時のみの使用となる。最近では外観も良いものもたくさん出ており、屋外で も使用できる冬用のリハビリシューズも増えてきた。中でも革靴風のハイカットブーツなどは外来患者さんの必需品となりつつある(スパイク付きが選択できる 物もあるが、駅などのエスカレーター使用時にはスパイクが挟まらないよう十分注意が必要)。

▼その他
杖を使用していない時に杖を立てる杖ホルダは、杖やテーブルに取り付けたり、クリップで止めるタイプがある。先ゴムは滑りにくくするためにいろいろな形 状や仕組み(広角ゴムチップなど)がある。その他には秋田という土地柄上、冬などの滑りやすい季節でも受診や仕事のため外出しなければならない方もいる。 そういった方々にお勧めしたいのはアイスグリッパと呼ばれる杖の滑り止めである。杖先に取り付けて用いるものでピン型と王冠型がある。

6)トイレ用品

▼ポータブルトイレ
主に木製椅子型・金属製コモード型・標準型(プラスチック製)・ベッドサイドポータブルトイレなどがあるが、それぞれにメリット・デメリットがあり使用 者に適した物を選択していただきたい。まず、安全性を考慮すると重くて手摺がついているものが安定性が良い反面、機能性には劣る。また、立ち上がりができ る人の場合は足が後に引けるスペースがあるか確認してもらいたい。毎日使用する方の場合は手入れのしやすさや衛星面も検討していただきたい。その他には、 臨床家にはあまり重要視されないかもしれないが、実際使用する側にとってみれば外観も重要な選択項目の一つだろう。

▼便座
柔らかい物や補高のための物などあるが、この時注意してもらいたいのが、洗浄器付きのトイレと併用できるかどうか・・・。ご使用の便器に合わせて選択する必要性がある。

▼収尿器
尿器や差込便器などいろいろあるが、片麻痺者のベッド上での排尿自立において、安楽尿器や自動採尿器などの使用は有効である。

▼その他
排泄に関してはやはり介護される当人も気にしてしまう場合があるので、消臭などに対する配慮も重要。現在では優れた消臭用品もあるため、それらを使用してもらえば良いのだが、コーヒー豆の捨てがらなどで代用する方もいるようである。

7)入浴用品

▼入浴用椅子・シャワーキャリー
身体を洗う時に使用するものであるが、浴槽への移乗用として使用する場合も多い。ただし、移乗用として使用する場合座面が弓形となっているものは注意を 要する。また、自室・脱衣所から浴室までの移動手段としても使用できるのがシャワーキャリーでトイレにも使用できるものがある。しかし、後者の場合、トイ レのタイプなどを加味してサイズや機能を選択する必要がる。また、キャスターは小径の物が多く、段差越えに介助量を要するため使用環境では段差の無い環境 が良い。

▼移乗(バスボード)
取り外し可能で、「浴槽エプロン+バスボードの厚さと同じ高さの入浴用椅子」との併用にてより効果的に使用できる(一体型もある)。介助量が多い方の場合はバスリフトが適応となる場合もある。

▼手摺(取り付け工事不要の物)
壁の構造または何らかの理由(公団・アパート)でよく室内に手摺が設置できない場合浴槽の縁に設置するものである。比較的安価で取り付けが簡単な分安定 性にもやや劣る。使用にあたっては、浴槽の形・縁の厚み・風呂ブタができるか?など考慮していただきたい。※手摺への加重量が多い人への使用は勧めない。

▼浴槽台・足踏み台
浴槽の出入りを楽にする足踏み台と浴槽内に沈め足場又は腰掛けにして使う浴槽台とがある。兼用タイプが多く、脚の高さ調節ができたり固定のため重りや吸盤がついている。

▼その他
こと入浴用品においては様々な福祉用具が提案されている。それは、高いニードを持ちつつも介助量が多く成りやすい動作だからではないか? また、水回り で行わなければならないため、他の動作に比べるとそのリスクも自然と高くなるため尚の事である。「継続は力なり!」との言葉もあるように介護も先の長いマ ラソンのようなもの。便利な福祉用具もありますが、時にはディサービスなどの福祉サービスを利用して、介護する方が温泉でゆっくり疲れをとるような心の余 裕も必要ではないだろうか?

8) 更 衣

▼上衣
片麻痺者の場合、動かしづらい方から袖を通すのが○! 下着は開閉部が前・肩開き型等あり、合わせ部分がマジックテープなど片手で操作しやすい物もあ る。普段着の場合、季節や室内外によって様々な種類のものを使い分けるが、着易さを考慮すると形も重要となる。一般の日常着の既製品は、上肢に障害を持つ 方にとっては袖通しが困難であり、さらに車椅子を使用している人には前丈が長すぎて越しまわり寸法が小さめ。よって、デザイン的にはベスト・ブルゾン・ カーディガンなどが良い場合もある。また、肩幅は身体寸法に合わせ、袖付けと腰回りに十分ゆとりがあるものが良い。

▼ズボン
一般的に車椅子パンツ類は、後ろ股上が深く、前股上が短めとなっており長時間坐位には適している。寝たり・起きたりの姿勢を繰り返す人は、前股上が浅い ものは避ける(また、床擦れができやすい人はお尻の下にシワを作らないよう厚手のもの・硬い素材は避ける)。おむつ交換や収尿チューブを使用している場合 には両脇にファスナーが付いたパンツが便利である。また、片麻痺者では感覚障害あったり、片手だけでは手が回りきらない部分があるため、不自由な側の腰上 げが不十分で下着がチラリと見えたりしている場合がある。本人に注意してもらうのも重要な事であるが、届きづらいズボンの脇に紐(取っ手)をつけるなど一 工夫してみては?

▼靴下
この動作は体に障害がない方にもぜひ体験してもらいたいのだが、片手で履くのは結構難しい。ソックエイドという物もあるが、うまく使いこなすにはある程度の練習を要する。

▼その他
「介護着いわゆる抑制着」というものがある(商品名により違いはあるかもしれないが・・・)。医療・介護・福祉の分野では抑制禁止の声がさかんに上げら れている。人間の尊厳を守る意味では非常に重要で結論から言うと私もそれに賛成である。しかし、痴呆などによりおむつ外しなどを頻回に行ってしまう方々の 介護を行う側にとっては、「介護着」の使用はやむを得ないものであり、解釈の仕方ではそれを着る事によって尊厳を守れる場合もある。重要なのは、どんな目 的で使用するのか?また使用する事で介護者・被介護者にとってどんなメリット・デメリットをもたらすのか?という事である。使用する際には十分に検討し、 安易な使用は避けたいものである。

9) 整 容

▼整容関連
一般的に整髪、髭剃り、化粧、歯磨き、洗顔、手洗い、爪切り等があり、整容動作とはこれら複数動作の総称である。ここで特別に関連用具の取り上げはしな いが、衛生及び健康管理の手助け行動範囲拡大への意欲及びQOL(生活の質)の向上、介護者の負担軽減など福祉用具を利用する意義は高い。また、生命維 持・コミュニケーションの窓口である「口腔」の衛生管理は重要で、特に片麻痺者では、麻痺側の口腔内に食べ物が溜まりやすいこと、うがいが困難なこと、歯 肉の変形により義歯の適合が困難なことなどの理由から歯牙、歯肉に異常をきたす場合が多いので注意が必要である。当院の病棟では、嚥下障害のある方の歯磨 き時に、サクションのチューブと歯ブラシを合体させた物を使用し、誤嚥の予防に努めている。

▼その他
先に関連用具については取り上げない事としたが、病院において男性患者さんの髭剃りに圧倒的に使用されているのが「電気カミソリ」である。「簡単・便利・安全」で介護の場での愛用品と個人的に感じるのだが、物のグレードによってはその使い心地も様々(剃り残し・ヒリヒリ感はないですか?)!心優しい女 性の皆様、男性の毎日の儀式ですのでなにとぞよろしくお願い致しまするーーーm(ーー)m。(男性の皆様はお化粧などにもご理解を示してあげてたまには女性のメイクしてあげるのも・・・いいのかな???^^)/

3.うまく福祉用具(機器)と付き合っていくには・・・?

しかし、実際使ってみようかな?と思ってもいざカタログを開いたり、お店にいってみると様々な商品があり、値段もいろいろ!どれを選んだらよいのか迷っ てしまいます。確かに福祉用具とは正しい選択で正しく使用できれば便利な道具なのですが、その選択・使用方法を誤ると被介護者の機能低下を招いたり介護量 が増えたりしてしまうなど「両刃の剣」的な一面もある事を十分に理解しておく必要があります。それは、必ず物には「メリットとデメリット」があるからとも 言えます。
ですから、今回ご紹介した中にも必ずデメリットが含まれている用具(機器)もあり、人によっては別のものでも十分な場合もあります。ですから重要なこと は介護者・被介護者・環境のバランスを十分に考慮して福祉用具(機器)を選択・使用していく事にあると思います。
その他に一つ覚えておいてもらいたいのは、従来の福祉用具は外国(特に北欧)から輸入やコピーしたものが多く、北欧では介護の専門家の使用が多いという 事です。そのため、そこで使用されている「福祉用具(機器)」は専門家が使いこなすように作られており、用具(機器)の使用には熟練をようするものもあり ます。
それらの福祉用具(機器)を高齢化社会である我が国では、高齢な介護者が選択し使いこなさなくてはいけない現状もあり、その方達を支援していく上で「ケア マネージャーや介護福祉専門員、福祉用具プランナー・住宅環境コーディネーターや研究・開発機関」などに対する期待は大きいものがあります。秋田県理学療 法士会員の中にもそれらの資格を取得し役立てている者もいますので、もし機会がありましたら相談してみてはいかがでしょうか?(秋田県理学療法士会ホーム ページの相談メールを通してでも結構ですよ! (^^)/

中通リハビリテーション病院 成田 研

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