Akit Physical Therapy Association

「脳卒中の痛み~その1~

脳卒中患者は多かれ少なかれ「痛み」について悩まれていると思います。麻痺のように外からみえないものなので、他の人になかなか理解しても らえず、苦労なさっている方も多いと思います。ひどい痛みは、不眠、食欲低下、抑うつ状態などの原因となり、生活の質(QOL)の低下、リハビリテーショ ンの遅れをきたすこともあるので、痛みがあれば早い段階で軽くすることが必要です。

脳卒中後の痛みは、

1)脳卒中による麻痺や筋力低下から二次的に生じるもの(末梢性の痛み)
2)脳卒中そのものによるもの(感覚の中枢が障害されて生じる中枢性の痛み)
3)脳卒中以外の合併症から生じるもの
に大別されます。

今回は1)の二次的に生じる痛みについての概要と治療について理学療法士の立場から述べます。

脳卒中発症後に二次的に生じる痛みとして、麻痺した手足の筋肉の痛み、肩手症候群などがあります。まず筋肉の痛みは、関節を 動かそうとすると痛みがでることが特徴です。これは、主には筋肉などの軟部組織の拘縮(こうしゅく)している部分を伸ばされる、あるいは筋肉が過緊張の状 態にある場合に無理に急激に伸ばされことによって生じます。これには、筋肉や関節が固くならないように、1日数回、他動的に動かすことが必要です。入浴後 などに筋肉をマッサージなどでリラックスさせてから、ゆっくりと伸ばすこと、痛みが出ない範囲から徐々に拡大して下さい。また、脳卒中の特徴として姿勢に よって筋肉の緊張状態が異なりますので、仰向けなどリラックスした姿勢で行うことが良いです。無理に強引に行うことは別の損傷を伴う危険がありますので注 意してください。具体的には理学療法士などの専門家に一度指導を受けることをすすめます。

次に肩手症候群ですが 、肩の亜脱臼を伴い、麻痺した側の肩や手の強い痛み、手の甲の腫れ・熱感、動かした時だけでなくじっと していても痛みがあることが特徴です。医師の治療を受けることが必要ですが、日常の生活の中で注意していくことも大事です。まず肩の亜脱臼とは、腕を肩関 節に支えている筋肉の麻痺によって、腕がそのまま肩にぶら下がるような格好になる状態です。肩にとっては非常に負担になり、その原因を取り除くことを、日 常生活の中で工夫しましょう。また、感覚障害を伴う場合や、麻痺した側に注意が向きにくくなる方もいますので(麻痺側の身体無視)、手の位置など見て確認 したりなど注意していくことが必要です。例えば、仰向けの姿勢で寝る時は麻痺のある側の肩の下に枕を置き、同様に腕・手も少し持ち上げてその枕の上に載せ る。車椅子に坐る場合は、備え付けのテーブルに手を載せる、あるいは掌を下にして膝の上に置く、歩く時は、肩への負担を減らすためにアームスリングや三角 巾で腕をつる(固定時間が長いと逆に苦痛を伴う場合があるので注意して下さい)などです。また見かけ上は腕や肩の問題でも、身体や足の姿勢すべてがこれに 影響を与えることも多く、身体を丸くしない、麻痺した側が後に引けないように注意しましょう。例えば、車椅子に座る場合は、身体に合った車椅子を選ぶこと が大切で、必要に応じて背もたれやクッションを用います。そしてできるだけ背筋を伸ばし、麻痺した足が外向きにならないように、また車椅子から身体が斜め にずり落ちないように注意しましょう。

これ以外の痛みとして 、足の浮腫伴う痛みは、特に麻痺が強く歩行が困難な方に見られます。弾性包帯や靴下、足浴、マッサー ジ、臥位になるときに麻痺した足を、少し上げて寝ることなどにより、軽減されることがあります。あまり程度が強いと足の深部静脈がつまっている可能性もあ り、重篤な合併症を引き起こすこともありますので、医師の診察を受けて下さい。

中通リハビリテーション病院 リハビリテーション科
理学療法士 大場みゆき

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