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「五十肩」 秋田魁新報社朝刊(平成11年7月11日)健康欄 掲載記事

五十肩の名称の由来は『凡(およ)そ、人50歳ばかりの時、手腕、骨節痛むことあり、程すぐれば薬せずして癒ゆるもの なり、俗に之を五十腕とも五十肩ともいう。人、長命病といふ』と記された昔の本にあります。この内容から考えると、五十肩は、50歳前後に老化が引きがね となって発症する、放っておいても自然に治る一時的な病気ということになります。 確かに、五十肩は40代や50代に多く、老化現象が発症の基盤にあるとされています。しかし、自然治癒の過信は問題もあるようです。ふつう、五十肩の全経 過は半年~2年ですから、自然経過を待つとしても相当な辛抱強さが必要です。さらに、自然経過では、痛みはとれても、関節の動く範囲が制限される後遺症を 残すケースが多いのも事実です。慢性化してから病院を訪れる人には、肩の関節が凍結したかように固まっていることもあります。 五 十肩を頑固な慢性病に移行させず、早く元どおりに回復させるためには、関節を動かすことが大切です。しかも、できるだけ早期から動かすことが肝心なので す。とはいっても、五十肩の初期は、痛みがひどいために腕を動かすことは避け、どうしても大事にし過ぎてしまうようです。そこで、五十肩の初期の段階での 手当てと運動方法を紹介しましょう。

五十肩の起こり始めは、ちょっとした腕の動きではげしい痛みが生じたり、夜間には痛みのために目が覚めることさえあります。このような場合は、日中や夜 間に三角巾(きん)で腕を固定すると効果的です。肩の関節を安静にし、痛みを鎮めることができます。ただし、使用期間は3日が限度です。人間の関節は、動 かさないでいると3日で固まり始めます。 発病後4、5日目からは、肩の関節を動かす運動療法が主体です。しかし、この時期は、肩に力を入れて腕を動かす運動は、まだまだ痛くてできません。痛みを誘発しない方法が採用されます。それの代表がアイロン体操です。 立っ た姿勢で、腕をまっすぐ伸ばして、手を肩の高さまであげるためには、肩の力が必要です。ところが、深くお辞儀をした姿勢から、腕をダランと下に垂らすとど うでしょう。肩に力を入れなくても手はすでに肩の高さにあります。アイロン体操は、この姿勢で、痛い側の手にアイロンぐらいの重さの物を持って、ブーラ、 ブーラと振り子のように動かす方法です。 五十肩のリハビリは、ほかにも症状に合わせて行う方法がいろいろありますが、初期も後期も関節の動く範囲を拡げていくことがコツになっています。特に初期の段階から、かばい過ぎず、少しずつでも関節を動かすことは重要で、早期回復のカギとなります。
腕の付け根辺りが痛くて、手が頭の後ろや背中に回りにくいなど五十肩を思わせる症状が現れたら、自然経過に任せることなく、早めに整形外科で診察を受け、適切な指導を医師や理学療法士から受けることをお薦めします。
※この文章は秋田魁新報社朝刊( 平成11年7月11日)健康欄に掲載されたものです。

市立秋田総合病院 
リハビリテーション科主任 高橋仁美

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