Akit Physical Therapy Association

「変形性膝関節症」 秋田魁新報社朝刊(平成11年8月15日)健康欄 掲載記事

膝(ひざ)が痛くなる病気の代表に、変形性膝関節症があります。この病気は、四十~五十歳ではじまり、じわりじわりと 進行し、末期になると、多くの場合は膝がO脚に変形します。症状は、朝方などの動かし始めがギシギシして痛い、動かしているうちに調子がよくなる、くたび れるとまた痛い、風呂に入ったりして温めると楽になる、といった具合です。まるで膝が油ぎれを起こしているかのようです。
油ぎれのような症状は、膝の関節軟骨が擦り減ることによって生じます。膝の関節、つまり太ももの骨の下端とすねの骨の上端が接する部分は、軟骨でできて います。軟骨は、非常になめらかで弾力性があり、膝関節を精密機械以上にスムースに動かし、体重を支えるクッションの役割を果たします。この軟骨がすり減 る病気が、変型性膝関節症なのです。ちなみにO脚に変形するのは、より体重がかかる内側の軟骨がすり減った結果です。

なぜ、軟骨がすり減るのでしょうか。要因にはいろいろありますが、加齢と膝への負担は特に重要な要素です。膝も長年使うと老化します。その上、中高年に なると、筋肉が急速に衰える反面、体重は相反するかのように増える傾向があります。弱った筋力で肥満した体を支えるのですから、老化した膝にとっては相当 な重荷になります。これでは、軟骨がすり減っても不思議ではないのです。

一度擦り減った軟骨を元通りに修復する治療は、現在のところありません。従って、変形性膝関節症の治療では、衰えた筋肉を鍛え、同時に体重を減らして、 膝にかかる負担を軽くすることが大切となります。鍛える筋肉で中核となるのは、大腿(だいたい)四頭筋といわれる太ももの筋肉です。太ももの筋肉の強化 は、膝に安定性を与え、痛みを軽減させるのに非常に有効で、変形性膝関節症のリハビリでは主役です。

では、太ももの筋肉を強くする運動療法の中から、手軽にできる方法を紹介しましょう。『セッティング』という関節を動かさないで筋肉に力を入れる運動で す。セッティングは、膝を屈伸して筋肉を鍛えるやり方と比べて、関節への影響が少ないので、安全に行なえます。あおむけに寝るか、または足を投げ出して 座って、膝の下に、巻いたバスタオルを置きます。バスタオルを膝の裏側で押しつける感じで、膝をゆっくり伸ばしながら、太ももに『ギュウッ』と力を入れま す。太ももの筋肉が硬くなるのがわかると思います。このようにして膝の関節を静止させたまま、太ももに十秒ほど力を入れ続けるのがセッティングです。
セッティングはいつでも、どこでもできる簡単な運動です。継続することで効果があらわれます。是非、医師や理学療法士と相談の上、行ってみてください。 ただし、痛みが解消してきたからといってやめないでください。病気の進行を食い止め、膝の老化を防ぐ意味でも、一つの習慣にすることをお勧めします。
※この文章は秋田魁新報社朝刊(平成11年8月15 )健康欄に掲載されたものです。

大体四頭筋のセッティング

市立秋田総合病院 
リハビリテーション科主任 高橋仁美

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