Akit Physical Therapy Association

「肩こり」 秋田魁新報社朝刊(平成11年9月15日)健康欄 掲載記事

一般に、首すじから肩甲骨にかけての重苦しさや張るような痛みを肩こりといいます。肩こりは、首と肩の両方にまたがった筋肉、つまり、首と肩をつなぐ筋肉に起こります。首と肩は別々の部位にあり離れた関係のように思えますが、筋肉では結ばれており関係が深いのです。
首は、重い頭を支えています。そして、目、耳、鼻、口といったいわばアンテナを備えたこの重い頭を四方八方に動かします。肩は、手が自由に使えるよう に、重い腕を支えながら操作します。重い頭と重い腕を支えて働く筋肉は、それぞれ別な筋肉ではなく、ほとんどがつながっているのです。
首と肩にまたがる筋肉は、日常生活の仕方によっては、緊張と疲労を容易に起こします。例えば、畳の生活ではアイロンをかけたり、洗濯物をたたんだりと、 うつむいたままです。デスクワークでは首を前に倒したままです。傾きっ放しの重い頭を支えると同時に、重い腕も支えて作業をするこの筋肉は、緊張が連続 し、疲労がたまりやすいのです。合わない枕(まくら)、目の疲れ、精神的なストレスなども同様です。

肩こりの原因は、日常生活から生じるこのような緊張と疲労にあります。筋肉の緊張が続くと、血液は流れが滞ります。流れの滞った血液は、酸素が不足し、 疲労物質をつくり出します。この疲労物質が肩こりをつくるのです。 日常生活から生じた肩こりの解消には、まず、自分の生活態度や生活習慣をふり返ってみることです。そして、生活の中に体操を取り入れるなど、自分自身で 積極的に筋肉の緊張をほぐし、血行をよくして疲労を取り除く工夫をすることです。今回は、肩こり体操の中から簡単な体操を二つ紹介します。筋肉をリズミカ ルに伸び縮みさせ、疲労物質がたまった血液を洗い流し、酸素をたくさん含んだ新鮮な血液を送り込みましょう。
一つ目は、肩すくめ体操です。ゆっくり息を吸いながら両肩を上げて肩をすくめ、次に、ゆっくり息を吐きながら肩をできるだけ下げ、首を持ち上げるようにします。
二つ目は、胸はり、胸すくめ体操です。大きく息を吸いながら、肘(ひじ)を後ろに引くと同時にあごを上げて、胸を張ります。次に、ゆっくり息を吐き、両 肘を体の前で合わせながら首を前に倒して、背中を丸め、胸をすくめます。 肩こりを感じたら、それぞれの体操を二、三回ずつ繰り返し、こまめに筋肉を動かしましょう。 しかし、すべての肩こりが、筋肉の緊張を解き、疲労を取ることで治るかというと、そうではありません。肩こりは、万病のもととも言われており、血圧が高く ても、背骨が悪くても、あるいは内臓が悪くても起きます。痛みが放散する、手足がしびれる、歩きにくいなど、肩のこり以外の症状が伴う場合は、単なる肩こ りと片付けず、必ず病院に足を運んでください。
※この文章は秋田魁新報社朝刊(平成11年9月15日)健康欄に掲載されたものです。

市立秋田総合病院 
リハビリテーション科主任 高橋仁美

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