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「糖尿病」 秋田魁新報社朝刊(平成12年1月9日)健康欄 掲載記事

現代の豊かな食生活と便利な交通機関は、糖尿病を増やしています。おいしいものをおなか一杯に食べ栄養過多となり、近くに出掛けるのにも車で移動して運動不足になる。こういった生活習慣が、糖尿病を招いているのです。

過食と運動不足が引き起こした糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が基本です。薬物療法は、必要に応じて適応されます。薬で血糖値は下がりますが、薬だ けに頼り、過食と運動不足の生活を続けるのでは、糖尿病はむしろ悪化するでしょう。糖尿病は食事と運動を柱として、よい状態にコントロールする病気なのです。

よいコントロールとは、狭義には血糖値がよくコントロールされていることで、広義には血糖値だけでなく、コレステロールなどの検査値、体重、血圧も適正 で、合併症の進展がなく、クオリティーオブライフ(生活の質)が良好な状態を意味します。つまり、病気が治ったのと同じ健康な状態ということです。

さて、ここで安全で効果的に行う運動療法のポイントを少し紹介しましょう。ただし、実際に運動療法を始めるときには、必ず医師や専門スタッフの指導を受 けるようにしてください。血糖値が非常に高い場合や合併症が高度な場合は、運動を勧められなかったり、禁止せざるを得なこともあるからです。

運動療法の種目としては、たくさんの筋肉をリズミカルに使う全身的な運動が効果的です。全身的な運動の代表は歩くことです。このほかに、筋力づくりの運動と準備体操としてのストレッチ体操を組み合わせると、けがも防げるバランスのとれた運動になります。

強度は、少し息が弾む程度とし、頑張り過ぎないようにします。目安として、脈拍を数えるとよいでしょう。運動直後の適切な一分間の脈拍数は、220から 自分の年齢を引いた数の60%です。例えば、五十歳の人では、220-50=170の60%で、102となります。実際に脈拍を数える場合は、運動直後の 10秒間を測定し、その数を6倍します。五十歳の人では、10秒間の脈拍数は、17が目安となるわけです。

継続時間は、少なくても15分、できれば30分程度が必要です。頻度は、毎日が理想的ですが、一日置きに週三日行えばまずよいでしょう。時間帯は、食後 一時間くらいから行うのが効果的ですが、現実的でないことが多いようです。自分のライフスタイルに合わせてよいでしょう。ただし、インスリン注射をしてい る人や血糖を下げる薬を飲んでいる人は、空腹時は避けてください。低血糖を起こす危険があります。

以上、簡単に糖尿病の運動療法について触れましたが、よいコントロールのためには、食事や合併症の問題なども理解する必要があります。これらの知識を得 るには、私たちの病院でも開催していますが、糖尿病教室に参加するのもよいと思います。正しく自己管理できるコツを身につけ、「糖尿病を長寿の病気」とす るつもりで、根気よく実行しましょう。
※この文章は秋田魁新報社朝刊(平成12年1月9日)健康欄に掲載されたものです。

市立秋田総合病院 
リハビリテーション科主任 高橋仁美

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